ちなみに私は海外に興味を持っていない。
外国という『未知の世界』に好奇心を持っていても、私が成田空港から上海にと飛び立つときには、見たい遺跡も行きたい所も、景色も、興味だとかはほとんどなかったのだ。
日本にいて毎日がワクワクドキドキで過ごしていれば、私は海外に出るなんてことはなかったであろう…。
そんな私だって、海外に憧れた事は何度かある。
その意識が最初に生まれたのは中学校のところだった。
帰国子女で日本の中学校に編入してきた女性の同級生がアメリカという国のセックスの盛んさと共に
『相澤はアメリカに行けば多分モテるよ』
という衝撃的な一言を発したのだ。
彼女は多分、当時の私のテンションの高さを見てそういったのだが、それ以降私の心の中には
『海外に行けばモテるはず…』という少ない希望が光りつつあった。
ここまで二か月を旅してきて、多くの白人を目の当りにし、その整った顔立ちに敗北感を覚えもしたが、多くの日本人が『東洋人オタク』なる存在を教えてくれたことが、私の期待を募らせていった。
さて、この宿では今多くの日本人と夜を共にしている。
その中の一人がアメリカ留学をして、英語がペラペラ、頭も良くて顔も結構いいと来てる。
しかし、そんな彼を見ても、私は『この顔面偏差値は日本でのことだから』と考え、エレバンの町を二人で歩いていた。
彼は『世界の美女を写真で納めている』と言い、立派なカメラを首からぶら下げているのだが、そんな彼と私が歩く前方に、何やらモジモジしたアルメニアン美女が立っている。
私は瞬時に『東洋人オタク』というワードを思い浮かべ、鼻の下を伸ばさずにはいられなかった。
『写真撮って』
と身振り手振りで言うので、私の心はまるでムービースター、『しょうがないなぁ…』と喜ばしそうに言うと、渡されたのはカメラで会った。
アルメニアン美女がアメリカ留学イケメンボーイの腕にに手を回し、私がとる。
まるで蜂が蜜に群がるかの如く自然の原理のように当たり前にその構図が生まれてしまった。
そのあとで彼が発した一言が私の今後の下心を撲殺することとなる。
『そういう星で生まれたんだね(笑)』
確かに、日本でもこの国でもかわらない。
美女相手だと引き立て役になり、おばあちゃんやおばちゃんからは何故か好印象である。
私は父と母を尊敬しているし、ここまで育ててくれたことに感謝をしているのだが、一つ文句を言っていいのなら、こう言いたいと思う。
『一体どんな星で産み落としたんだ』と。
モテ星があるなら是非教えてほしいものだ、私の子孫はその星で産み落としたい。
いや、この星で生まれた時点で、子孫なぞ残せないのかもしれないが…。
続く…