僕の就職活動は決して遅いスタートではなかったと思う。
インターンには参加しなかったが、情報解禁前からセミナーなるものにも参加していたし
情報解禁してからちゃんとエントリーもした。
情報誌や本なんかも買ったりして、字から情報を得るのが好きな僕はそれだけでワクワクしていた。
大学受験の時、自分が気付いた時には周りはみんな予備校に通い、英単語を1900語覚えるという
僕からしたらとんでもない苦行を始めていた。
その時の出遅れと、『やれば出来るってところを見せてやるぜ!』なる良く分からない考えがきっと僕を早目にスタートさせていたんだと思う。
何よりバイト先の友人が僕をその気にさせた。
何千倍という倍率のインターンに参加して、数か月前とは会話の内容も変わってきた。
それがまったく嫌味なく、僕の心を素直にやる気にさせてくれたのだと思う。
大学の友人も会話の中心が自然と就活になっていた。
今思えば、この時に本当に明確な目標を持ってる人は早々に決めてたし、希望通りのところに入っているような気がする。
○○業界、ではなく○○会社に入りたい!と早い時点でもう決めているていたのだ 。
今思っても僕には出来ないなぁと思ってしまう。たとえ今だって出来ない。
やはりそういう人は明確な判断材料を持っているんだと思う。
彼にとってはそれはきっと金だったのかなと思う(それが口だけの可能性もあるが)。
四季報の年収を見て一緒に羨ましがったことを覚えている。
『やっぱり世の中金かぁ…』
この時は笑いながらそんなことを話していた。
そんな中、僕の就職活動は専攻を活かした仕事と文系の仕事の半々進んでいたと思う。
僕は3年間の大学生活で、自分の専攻科目に嫌気がさしていた。
今だってなぜもっと早くに転部しなかったのだろうと思っている。
3Kとはよく言ったもので、僕にとって機械に密接な関係の製造業は元々イメージの良くないものだった。
『試験もなく、成績も見ない。見学にも行ったことないけどとりあえず願書を出してみよう。
バイク好きだし、機械とか面白そう。』
試験を受けて入学した人には申し訳ないが、僕の真の大学志望動機はこんなもんである。
そもそもが『学部学科と就職先は関係ない』という友達の話を鵜呑みにしていた。
理系文系の違いすら良く分かってなかったのだ(今頃になってこんなに差があるのかと驚かされている)。
ところがどっこい、学科にいる友達のほとんどが機械系志望である。
これでは文学部全員が物書きになりたがっているようなものだ。
『本当に?授業あんなにつまんなそうにしてたじゃん!』
僕がこう聞くと友人はこう言う
『そうだけど、就活に有利だからこの学科選んだんだもん、専攻じゃないと意味ない』
と言うのだ。
なんてことだ、これはびっくり。
一緒にバカやってた友達が
一緒のバカだと思ってた友達が
3年前にはもう4年後のことを考えていたのだ。
何も考えてない自分に腹正しさを覚え、恥ずかしくなったのを覚えている。
そんなこともあり、多くの機械系志望の友人から理系仕事の良し良しを叩き込まれた僕は『手に職』という言葉につられて『一応』理系の求人にも応募していた。
なにより『もったいない』という気持ちが大きかったようにも思う。
そして『就職に有利』という言葉は12月の合同説明会、いわゆる『合説』で思い知らされる。
フロアの1/4が『機械系学生求む』なのだ。
僕の見た限りでは科学・情報に比べると『機械系オンリー』な企業はとても多かった。
その『合説』でも僕のやる気は飛躍していった。
『技術営業』なる営業職を持つ会社が思いのほか多かったのだ。
専攻も捨てられないけど、設計開発研究みたいなのはもういやだ!と思ってた僕に就職支援センターの御兄さんは一つの提案をしてくれた
『君がやりたいのは技術営業だね』
なんて素晴らしい響きなんだ『技術営業!』プロフェッショナル感丸出しじゃないか!
いわば営業を技術的にサポートする仕事らしい(のちにそれは名ばかりのただの営業職の会社も多いと知ったが)。
『開発とか施工管理とかじゃなくて技術営業をやりたいんですが…。』
というと長い間個別で対応してくれる企業も多かった
理系の人間の欠点がコミュニケーションといわれてるこのご時世に
営業職をしたい理系なんて少ないのだろう。
情報収集能力の乏しい僕なりにだが、この時期はまだ就職に対し大きな希望を持っていた。
ES添削も履歴書も面接も練習とか指導本とかはほとんど読んだことがない。
それでも自分の『人間性』を理解してくれれば、きっと働き口はあるはずだと思っていた。
多くのアルバイト実績が僕に自信をつけさせてくれたのは間違いない。
『働く』という責任感と見返りのためなら睡眠やプライベートもおかまいなしなのだ。
『そこらへんの凡々に暮らしている人よりも使い物になるはずだ。』
と、今思えば激しい勘違い、過大評価である。
しかし、今後訪れる奇跡のような出来事が僕の勘違いをさらに加速させることとなってしまう。
続く…
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