2-79. ブドウ-シエナ-

Siena_vineyards

さて10日間、観光もろくにせず、何をしていたかというと。

実はブドウを収穫している。毎日8時間、ブドウブドウブドウ…。

そんなブドウの収穫の初日、その場にいたイタリア人全員に『ボンジョールノ』なんて言いながら挨拶してたら、ある一人の白色の肌の青年が『I know. We meat at your home』なんていってきた。

なに言ってるの?叔母の家にでも来たのだろうか?覚えてないな。

後々、叔母から話を聞くと、私は彼と本当に自宅で会っていたらしい。
なんと彼、私の姉の元彼氏だったとか。

私の姉はイタリアが好きで、何年かごとにイタリアに行っては、叔母と共に過ごしていたらしい。
ちなみに私と姉との仲は最悪、何年間も口を聞いていないというほど。

そういえば一度、姉が家に白人を連れてきたことがあった。
姉は、私が友人を連れてくると不機嫌になる。
当然、私も姉が友人を連れてくると不機嫌になる。
ましてや異国の人、どう接すればいいのかわからない、当時外国人不慣れだった私。

『忘れちゃったの?確か君は寝起きで不機嫌だったね。』

『どんなカルマだよ...』と内心思いながらも。英語ができる人が少ない人々の中で、彼が英語が上手だったこともあり、また日本という共通の話題もあったために、彼とはたくさんのお喋りをした。

ちなみにイタリア人はビーチが大好き、夏になれば皆海に行き、体を焼く。
しかし、肌が白く、日に当たると痛痛しく赤くなる彼にとってはビーチは敵。

『日差しだろ?塩水だろ?最悪だよビーチなんて』

黒ければ黒いだけモテるというイタリア人の中で、彼の白さと金髪はあまり普通じゃないらしく、人々からも

『モッツァレラチーズ』

なんていってからかわれるのだと。それを聞いたときは思わず笑ってしまった。さすがはイタリア。
日本で『豆腐』と名付けられるようなものだろうか?

そんな彼、確実にオタク。
コンピューターが好きで、うる星やつらが大好き。
でもオタクっていうと全力で否定する。

『だってそれはネガティブな意味があるだろ?』

私も説明する。
『昔はね、最近はそうでもないよ。最近はオタクの方がモテたりするんだよ。皆アニメとか好きだしね』

そういえば日本のアニメは本当にすごい。
イタリア人の従兄は欠かさずワンピースとナルトを見ている。
北斗の拳も、ドラえもんも伝わる。

きっとこうやって、友人を作り、仲が良くなればなるほど、離れるのがつらくなるのだろう。
現に私はもうシエナの人々、食べ物、環境が恋しくてたまらない。

続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

2件のコメント

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    もうそこで住んでしまえばいいんじゃない!
    住んでしまっちゃおう!

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