その国の、最後の夕食はいつも幸せな気持ちで迎えることが出来る。
それがきっと私がすべての国を好きでいられる理由なのだろう。
朝、やっと固形化した便と共に起きてフロントにいくと、もう車とドライバーは来ていた。ドライバーが『go!go!』というので、私は『護衛とか、つかないんだ』と思い、7:00にクエッタを出発した。
道中、私の頭の中は不安で一杯であった。
『危険はどこからやってくるのだろうか?』
『もっと安く抑える他の方法はなかったのだろうか?』
『そもそもボーダーは何時に閉まるのだろうか?』
それでも、ホテルマンやポリスが、危険だから言って自由に歩かせてくれないこの街を、そしてその言葉が私に植え付けた恐怖を、後に出来ることに私は喜びながら、途中、パンクした車を直しながらも国境の街、タフタンに向けて快調に向かって行った。
しかし、4時間車に揺られ迎えたポストチェックで問題が起きた。
『どうしてセキュリティがいないの?ダメだよ、クエッタに戻ってセキュリティつけてからまた来て!』
やはりセキュリティは必須だったようだ。
しかし、4時間きた道をまた引き返し、またホテルに泊まり、また向かうのは嫌だ。絶対にいやだ。
私は図々しくも、出されたこのエリア独特のブルチティーをお代わりして、泣き真似をするヤツを睨み、こう叫んだ。
『このNOC見て、7:00に行けって書いてあるでしょ!?だから待ったの、7:00すぎまで!(本当は7時ぴったりに出たけど)でも護衛はこなかった!だから出発したの!わかる?』
心の中で『これ、日本だったらクビだからね、その護衛の人!』とも叫んだ。
暑さと疲れで私の苛立ちはピークに達していた。
『ダメだ!』『嫌だ!』
その押し問答が数分続いた後、二人の若者がやってきて、『隣の街まで私が護衛につきます』と言ってくれた。
この二人の護衛のうち、一人は英語を話せて、彼のおかげて私はこの護衛団体が嫌いにならずに済んだ。
長い道のり、沢山の会話をして、FBのアカウントを交換して、別れ、その街でまた別の人に護衛についてもらった。
途中、『この山の向こう側がアフガニスタンなの?』と聞くと、『そうだよ、300キロぐらい。』と。
アフガニスタンも、今では多くのパッカーが行く国であるから、遠くはないのだろうが、私はまだ消えぬ戦争の記憶が、横の国で起きたのだと思うと、なんだか感慨深かった。
護衛の変更を2度ほど行い、初めての砂漠に感動しながら、やっとタフタンにつくが、やはり不安は的中し、ボーダーは閉まっているらしい。
どうしよう…
護衛に『寝る場所ないし、俺、200ルピーしか持ってないんだけど…』と言うと。『何言ってんの?宿があっても泊まれないよ、危険だから。今日はうちのオフィスで寝て、明日ボーダーまでつれてってあげるよ!タダだよ!』と。
タフタンの街の外れに、彼らのアジトがある。
そこには多くの警備隊がいるのだが、彼らに『あなたたちはポリスなの?』と聞く、違うという。
『いや、僕らはこの地域とこの地域を通るツーリストを守るLEVILESという部隊なんだ。
』
『
携帯の電池がないんだけど、チャージャーを街に忘れちゃって』という、24歳の隊員を助けてあげると、水とマウンテンデューを買ってきてくれた。
さらに、食事もご馳走してくれて、ここにいる皆は実に友好的に話してくれる。
私はつかの間の平和を楽しみ、そして『海外の公務員は平気で賄賂を要求してくる』という話を、彼らが金を微塵も欲しがらないことで、否定し始めていた。
トイレが綺麗でベッドさえあれば(寝床はオフィスの床である)金を払ってでも泊まりたいぐらいに居心地がいい。
楽しく談笑していると、遠くから大勢こちらにやってくる。
『彼らはイランに不法入国して、追い出されてここに来たんだよ。』という。
『ほら、あれが君の行く国さ』そう、ここからはもうイランの町並みを眺めることが出来る。
島国育ちの私には、決して見ることが出来なかった光景である。
『ほら、あれが君の行く国さ』そう、ここからはもうイランの町並みを眺めることが出来る。
島国育ちの私には、決して見ることが出来なかった光景である。
不法入国者達は、子供のように座り、子供のように説教を受けて、少しのビンタをもらっていた。
『牢屋行きか…』
とおもっていると、皆は自由に敷地内を歩き始める。
明日クエッタに護送されるまで、ここで普通に生活するらしい。
中にはパキスタンからイランにノンパスポートで行ったというツワモノのアフガンもいるほどだ。
24歳の隊員は『彼はとってもクレバーなんだよ』と褒め、談笑していた。
『これがパキスタンさ』
クエッタで会った男のニヤリが、少しわかった気がした。
私はパキスタンで、多くのやさしきパキスタニーに会ったが、このLEVIESという部隊の人々は、その上をいく優しさと居心地の良さを提供してくれる。
ティーを呑みながら談笑をし、タバコをいただき、『荷物、不法入国者にとられないようにね!』と笑いながら言われて、不法入国者とほぼ隔たりのない空間で寝ることとなる。
平和だ、やはり危険だ、一部だ、なんだ。
色々いったが、私はパキスタンをこう結論付けたいと思う。
パキスタニーの多くは、とても良い心を持っています。
続く…
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社会人なってから相澤のブログが毎日の楽しみなってるわ。
土産話期待しとく。
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ちわわ様
やはり大変なんでしょうか?
社会人マネーでおごってくれるなら何でも話しますよ。