2-34. ノーファkックユー-ヤズド-

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ゾロアスター教は世界初の一神教と言われ、元々のペルシャ人の宗教である。
ペルシャ人はアラブ人によってイスラム教へと改心させられた過去を持つのである。
ここにもイランの歴史の面白さがある。

ここヤズドには、そんなゾロアスター教の古い街並みと、遺跡が少し残っている。
ゾロアスター教が鳥葬をしていた時のものと、そして沈黙の党と呼ばれるものだ。
沈黙の党からはヤズドの街並みが一望できる。
そこで夕日を待ちながら、今私はこの文を書いている。

私は本来なら明日、この場所にくる予定であった。しかし、街を歩いていたらバイク乗りの男が『サイレントタワー?』と声をかけてきて、載せて行ってくれるというのでホイホイ乗ってしまった。

男はやけに私の手をベルトに握らせたがる。最初は『これがイラン人のバイクの乗り方なのか』と思ったが、二度、私の手を取り巨大な逸物を握りしめさせてきた。挙句の果てにはバイクに乗りながらベルトを緩めてきたのだ!

『ストップ!』そう叫び止めてもらうと、『ドゥーユーライク ファック?ウィズミー』などと言ってきた。
私は『ノーファックユー』などというよくわからない言葉を発し、その場を去った。

こんな私を選んでくれたのだから、彼にはむしろ礼を言わなければならないかもしれないが、それでも私はどうしてもあの大きな逸物をケツにぶち込まれることに自信が湧かなかった。

それから悔しくなってタクシーでここまでやってきたのだが。
来てよかった。観光マップにも載る有名な場所にも関わらず、人は一人もおらず、ここらで唯一の高台であるこの場所からは、地平線まで見渡すことが出来そうだ。
私は久々の風吹く一人の時間を心地よく過ごしている。

ここまで来るの大変だったなぁ…
パキスタン国境越えを思い出しながら。
其の間もケツは滴り落ちそうになる便を必死に防衛している。
我ながら自分のケツのしぶとさには天晴である。
続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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