2-37. 何も変わらないじゃないか-テヘラン-

P1020639

ペルセポリス遺跡は、建築物にあまり感動しない私でも、感動することが出来た。
時代を思わせ、そこから見る景色は絶景であった。

これを見れば、もうこの街に用はない。
ここから次のルートは、『美しい街』と言われる第二の都市、イスファハーンに泊まってからテヘランに行くのが王道らしいのだが、私はそのままテヘランに行くことにした。

もし、テヘランも同様に『退屈』であったなら、すぐ抜けれるように。
手持ちのドルと、日数の不安も、私の足をいち早く首都に向かわせた。

バスの中で、私は便が固形化したことを確信した。
今までは出せば、液状便が共に溢れ出した屁を、臆する事なく出す事ができる。
体調は順調に向かっていると言っていいだろう。

私は白人や黒人の定義はわからないが、イラン人は白人である。
大人の肌の色は黒い人が多いのだが、子供はそれこそシルクのごとく真っ白である。

その上ジャンクフードどペプシを好んで食べるのだから、我々の想像するアメリカンと何ら変わらない子供が数多くいる。そんな子供が今バスで隣に座っている。

私は無知ゆえの罪意識のない子供という生物があまり好きではないのだが。
疲れた移動で私をいつも癒してくれるのは、無邪気でシャイな子供の笑顔である。子供は万国共通で愛らしい。

暫く眠った後に目を冷ますと、地平線いっぱいに光が広がっていた。
私は最初、テヘランについたのかと思ったら、それは高速道路の光りであった。

イランの、光りと緑の使い方は本当に優雅で綺麗だ。これが豊かさの象徴なのであろう。
高速道路の光りは、龍の道のように、どこまでも、何処まででも続き照らしている。

私が目を冷ますと、同じバスの乗客達が待ってましたと一斉に話しかけてくる。

『フットボール!ジャパン!ブラジル!ジャパン0、ブラジル3』

どうやら日本対ブラジルが行われていて、3-0で負けているらしい。
スポーツ。特にフットボールが本当に好きなのだろう。
英語が出来ず、意思の疎通ができないだけだが、何が日本と違うというのか。
何も変わらないじゃないか、日本と、私はイランを歩き、見てそういう風な感想を抱いている。
続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です