イメージしてみよう。
ここは、約15年前、他の旧ユーゴスラビア諸国と同じく、独立と民族浄化のための非人道的な紛争を多く起こし、約5年前に正式に独立を宣言し、国旗が作られた国である。
現在国連加盟国の約半数が独立を認証しておらず、その中にはロシアと中国が含まれている。
まずウィキペディアか何かで調べてほしい。
そこできっとあなたの頭の中に浮かぶのは、あまり良くないものだろう。
野蛮な人間と、破壊された街。
私はあなたがそんなイメージを持った国の首都に来た。
国が新しいならば、必然的に新しい首都である。
バスターミナルで偶然、日本人のバックパッカーに出会った。
『なーんもないよ』
彼にそういわれながらも、私はその日に見つけることができたホームステイ先の男を待っていた。
その男と共に出た街は、私のイメージを、私のイメージ通りに壊してくれた。
パキスタンとイランを旅して、私はある程度良いイメージを持ってその国を訪れるようになったが、それでももう少し荒れた街を想像していた。
人々はヨーロッパ式のカフェで会話を楽しみ、街は舗装され街の中心はとても綺麗である。
作りかけの道や建物もあり、落書きも多く、信号の電気がきれていたりもするが、それでも私はその綺麗さに感動していた。
そこは、私の想像する紛争の跡形など、ほとんど有していなかった。
人々も優しく、私が日本人だと言うと、とても友好的に接してくれる。
ホスト先の彼は、家族をファンランドに持つ裕福な人のようだった。
スキンヘッドにグラサンのコワモテの男だったが、日本が大好きで、興奮しながら旅行した時の話をしてくれた。
使われてない協会と『NEW BORN』のモニュメント以外では、この場所が近年に独立した国の首都であるを感じさせない。
新しい政府関係の建物は、その象徴なのかもしれないが、もう出来上がり始めているというのが私の抱いた印象であった。
『なーんもない』
バスターミナルで行った彼の言葉も間違ってはおらず、ここにあるのは人々が生活するためのものであり、観光で来るような場所ではなかった。
私の住む街は、見所といえば映画館ぐらいで、その他には百貨店とカフェしかない、何もない街であるが、それで困ったことはない。
何もないのなど当然だし、普通なのかもしれない。
私たちが訪れるような、見所があるほうが特別なのだ。
ホストは、私の今後の旅のプランニングまでしてくれた。
彼は世界各国を『旅行』していた。
『インド』というと明らかな嫌悪感を抱く、これが先進国に住むの富裕層の正常な反応なのだろう。
『次は、どうするの?』
『海に行こうかな。』
私は、この何もない場所をみたせいで、はやり海にいきたくなっていた。
せっかくの夏なのだ、楽しもうじゃないか。
続く…