2-13. 隣国の人々と異国の地で-カトマンズ-

P1020236実に多くの時間を共に過ごしただまされ宿の友人たちとは、バラナシ付近の寺院や城を巡った後にお別れをした。私も彼らのように立派に仕事に就き、素晴らしい友人と異国に遊びに行けたらなと思った。

『また一人になってしまった』

と思っていたら、昨日一人で過ごしていた別館のドミトリーとツイン部屋に3人の日本人がやってきた。
本館の部屋が大量の韓国人旅行者の予約で埋まってしまったために、こちらに来たのだ。

GWを利用した短期旅行の社会人と、世界一周を始めて間もない女性、そしていかにも旅と音楽が好きという男性だった。
彼らとは旅の出来事や情報を通して、約三日間語り、食べ、観光をした。

屋上に住む謎の老人に恐れ、眠れなくなった夜は今後のルートとここまでのルートの話で盛り上がったりもしが、再会を誓って皆それぞれの道へと旅立っていった。

女性は早朝にポカラへ、男性はアグラへ、社会人はデリーへ行き、また日本へ。

そして私は、一番最後にネパールとの国境の町、『スノウリ』目指し旅立つ予定であった。

何故ネパールに行くのか。
アグラに旅立った男性が、暑く、呼び込みが激しいインドに疲れていると、『ネパールはここと比べると天国だった』と言っていた上に、ビザもアライバルで25ドルでとれるという。

私は是非世界最大の山を持つ国、ネパールへと行ってみたくなった。
予定にない国、これが一人旅の醍醐味である。

23時発の寝台列車を予約したため、ゲストハウスの一階で遊んでいると、子供たちが『Play!』とせがんでくる。
パソコンゲームとクリケットが何より大好きな宿の子供たちは、私がiPhoneでゲームをダウンロードしてあげて以来、大人たちがいない時を狙い、私にそれをせがんでくる(宿の大人たちは、彼らのゲームタイムである20時~21時以外にゲームをしていると怒るのである、私の少年時代とまったく同じである。)。
終いにはそれをとりあって喧嘩をしてしまう次第である。

彼らが『このゲーム、パソコンでできないの!?』と聞くので、ネットでダウンロードサイトを教えると、母に怒られる。私も一緒に。『このエッグインベーダー以外ダウンロードしちゃだめよ!』と。彼らは毎日のように鳥を撃ち落とすインベーダーゲームをしながら忍者ハットリ君を見るのが日課である。

『すいません、でも彼らぐらいの歳の子供になると、日本では皆スマートフォンを持ってゲームに夢中です。』
というと、『そうよね、このゲストハウスに来る子供も、観光もしないでゲームばっかりしてるわ!』と言う。
たしかに、我々もここで多くの時間をネットでの調べものに費やしてしまったと、反省した。

『子供は外で遊ぶのが一番ですよね、スポーツマンはモテるぞ!メニーメニーガールフレンドだぞ!』
と子供に向かって言うと、『女に興味ない』と、日本の子供と恥じらい方まで一緒である。

そんな会話をしていると、母親が嬉しそうにスマートフォンを持ってくる。
『兄が買ってくれたのよ!(宿のオーナーである彼女の兄は、日本でマッサージを営む有名人らしい、宿には多くの有名人との写真が貼ってあった)』

『でも、兄とLINEでおしゃべりするか、FaceBookしかしないの、FBは友達少ないし』
と笑いながら話してくるので、では是非友達申請しましょう!となり、私のFBには現在インド人の友人が一人いる。

私のつたない英語も気にせず、彼女は実に多くのことを話してくれ、楽しいひと時を過ごせた。
私は将来の嫁にインド人を考えつつあるぐらいだった。

そんな風に皆で楽しんだあと、さて、歩いて駅に行こうかと準備をしていると
『日本人ですか?』と韓国人が話しかけてきた。
日本の帝京大学に昔在籍してたという韓国人は流暢な日本語を話し、
『ここから歩いて駅までは遠いし、暗いし危ないですよ!一緒に行きましょうよ!』と言ってきた。
確かに不安になっていた私は、その提案に甘えることにした。

私はてっきり二人、もしくは三人で駅まで向かうのかと思ったら、実に10人の大所帯である。
日本人たちを本館から追い出す原因になった韓国人の団体だったのだ!

インド人と対等に交渉でき、数ルピーのために30分以上も交渉に費やす優秀で力強い女性ガイドと、可愛い女学生や、教授など、さまざまな年齢の韓国人と私は駅に向かうことにした。

なんと、乗る車両まで一緒、部屋までもが一緒だったのだ。

食べ物くれるし、リキシャのお金はいらないって言うし、私はなんて素敵な人々を隣国に持ったのだろうと思っていると、ガイドのバックカバーにでかでかと『DOKDO IS KOREAN TERRITORY』 と書いてある。

私は、彼らが私を陥れようとしているのではないかと警戒していると、そのバッグを笑いながら見せてくる。
私は『ノータッチ』というと、爆笑が起こり、日本語が流暢な彼は、『私はこれはどうかとおもいますけど…』と、申し訳なさそうにしていた。

彼らにとって政治的問題と人間同士の問題はまったくの別物と割り切っているのだ。
そのあたりを混ぜて考えるのは、いつも顔を見せない人々だけなのだと、思ったのと同時に
彼らと日本人の政治問題に対する本気度の違いを垣間見ることができた。

結局ゴーラクプルから国境スノウリまでのジープと、国境からカトマンズ(先にポカラに行く予定だったのだが、予定を変更してしまった)までのジープも一緒にいってしまい、彼らが泊まるゲストハウスが一杯だったため、横にあったゲストハウスのシングルルームで現在優雅に居座っている(深夜であったため安宿を探すことができなかった。)。

異国の地で隣国の彼らと仲良くなれたことは、とても喜ばしいことであったが、疲れ果てた表情の彼らは見ると、インドは決してツアーで来るような場所ではないことが分かる。

一人旅とは言うけれども、日本にいる時より一人の時間が少ないのではないかというほど皆がかまってくれる、バラナシで呼び込みのインド人と話すのも楽しかったが、ここネパールではどのような素敵な日々がまっているのだろうか?

わくわくしながら床につくこととする。

続く…

※会話の多くを英語で行っているため、9割は動作や理解できる数少ない単語から予測して聞いているため、インド人との会話や家族構成には誤りがあるかもしれません。


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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