2-30. This is Pakistan-クエッタ-

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NOCがないとチケット売れないんだよ!

NOCと言われる、ここからイランに向かう人の証明書のようなものがないと、バスの予約すら出来ないと言うことを知り、私は英語の話せないオートリキシャの運転手に『ホームオフィスに行ってくれ!ホームデパートメント!ユーノウ?』そう言うと、ゴリラんフェイスのドライバーは頷き、私をポリスに連れて行った。

『もういいよ…』

明らかに馬鹿面のドライバーとお別れして、私はポリスステーションでホームオフィスの場所を聞こうとする、しかしその前に中へ招かれた。

『おーい!日本人がきたぞ!みんな!』
『おー、本当だ。』

そんなことを多分言われながら。

私は偉い人、そしてさらにその偉いであろう人に見世物として紹介されながら
『NOCがほしいんだけど…』
と言うと、ポリスが

『NOCはホームデパートメントでだよ?なんでここきたの?』
『いや、俺はそこ行きたいって言ったんだけど(馬鹿な)運転手が…』
『10分ぐらい待ってて!俺らのバスで連れてってやるよ!』

一時間後

『あのさ…ホームデパートメントに…』
『10分待ってって言ったでしょ?』

二時間後

『ホームデパートメント…』
『10分だから、10分!』

その間も暇そうなパキスタニーポリスは永遠とお喋りしてる。長い長い10分であった、この間も私の体調はこの上なく不良である。

やっとバスが来たと思ったら、牢屋から囚人を連れ出して、簡単に逃げられそうな手錠をつけてバスに乗っける。

まだですか…。そう思っていると『乗れよ』と言う。
なんと巡回車じゃなくて、護送車で送ってくれるというのだ。しかも囚人の隣で。

囚人は警官とお喋りを楽しみに、終いには警官が持つ手錠の手綱を『重たいから自分で持て!』とうい感じで囚人に渡してしまう。

そんなやり取りの末、囚人がニヤリと笑い、私を見て言う。

『これがパキスタンさ。』

彼がどれのことを言っているのか分からないが、私は妙に納得してしまった、そうか、これがパキスタンか。

結局ホームデパートメントへは10分足らずでついた、2時間待って10分とは…

そしてそのホームデパートメントでは『今日中にはもう作れないから明日の朝また来て』と言われる。

この日の私は体調不良も合間ってすべての歯車が狂っているように思った。

帰り道も警官の好意で、バイクに三人乗りして送ってもらうが、それすらもおせっかいだと思ってしまった。

宿に帰り、明日こそはこの街を出ると誓い、ちゃんとしたディナーを食べる。
フライドライスとベジスープ。

泣くほどに美味しかった。
美味しかったということは、体調がいくらか回復してる証拠なのだろう。

明日は旅立とう、イランへ。
パキスタン人ですら『気をつけて』というこの街を抜けて。

続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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