0-5. 僕の就職活動放浪記-挿入-

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 インターンで行った作業といえば、資料探しと、会議用の菓子盛りと、お茶汲みぐらいであった。

その業界では、ある程度まで出世すれば、神様のように扱われるが、それまでばアルバイトでもできるような、雑用の毎日が続く。

結局朝9時に出社して、終電で帰るまで雑用を続ける日々を一週間続けた。
 インターン最終日、お世話になった社員の方々が送別会を開いでくれた。
彼らもまだ雑用の日々を、朝早くから夜遅くまで続ける人々だった。
『どうだった?』
と聞かれ、僕は正直に

『退屈でした。』

と答えた。
嘘はなかった。2日目まではワクワクしたが、そのあとは同じ毎日に正直飽き飽きしていた。

その言葉を聞き、彼らは怒るわけでも叱るわけでもなく、話し始めてくれた。

自分の話を。
何故、この仕事をしてるのか。
もっと給料の良い仕事をしていた人もいた。
もっと楽な仕事をしていたという人もいた。
しかし、何故なれるかもわからない神様を目指して汗水流すのか。
 
彼らは恥ずかしげもなく堂々と言った、『そこに夢があるからだ』と。
 皆にお別れの挨拶をして、帰り道僕はとても恥ずかしい気持ちになった。
安易な気持ちで、なんとなく、楽しそう、人を喜ばしたい。
そんな考えでその業界を受けたことを。
結局2週間後に来た結果で、僕は祈られたわけだが、心の中でホッとしていた。
僕には人を楽しませる資格などないし、そのために汗水流す覚悟もまだ全然なかった。
『僕みたいな、凡人で、努力すら出来ないような屑は、世間で言われている普通の幸せなるものを目指して走り抜けるしかないのだ。』
そう結論づけた僕は、友人にリクルーターを紹介していただき、何でもいいからと、職探しに必死になった。
 
『サボったらリクルーターに迷惑がかかる』というプレッシャーの下、必死に起きて必死に採用試験を受けた。
 
わざわざテストセンターを受け直した。
テストは僕にとって、苦手分野の一つだった、勉強する気が起きなかったからだ。
ただ、その企業の試験に通過した時に、『8割は少なくとも取れてます』と言われ、とても嬉しかった。
僕の予想では6割がいいところだったのだ。
 
そんなことや、扱ってる商品にも惹かれた僕は、その会社を第一志望に決め、試験を進めた。
 
面接で会った人事の方はとても良い人で、面接終了後、フォローアップと言って、僕の悪いところを指摘してくれた。
 
それを聞いた瞬間、僕は就職活動を辞めることを決断した。
 
『貴方はコミュニケーションもちゃんととれて、話術もあります。テストの点数もよかったのに、何故か話す内容がすごくネガティブです。まるで受かりたくないみたい。今までの活動の終着点をすべて糧になったとストーリーづければ、次の役員面接は受かるでしょう。』
 
的なことだった。
 
 
 バレていた。
受かりたくないこと、心にまだ引っかかりがあったこと。
不安なんてもんじゃない、拒否感。
やり残したことがあるということ。
 
なんだか、10年前の自分が今の自分を見たら悲しむんだろうな…ってなような、そんな気持ちが心の中でずっと居座っていた。
 
 
 僕は急いで家に帰ると、その企業とリクルーターに就職活動をやめることをすぐに伝えた。
『とりあえず出てみて下さい。』
と言われた予約していた説明会もすべてバックれてしまった。
リクルータに怒られようが、僕の気持ちはもう元には戻らなかった。

 

 

 

これが僕の就職活動のすべてである。
文字にすると、こんなにも薄くて、短くて、普通のことかもしれない。
しかし、そこには文字には見えない、起こせないような苦悩葛藤があった。
一瞬でも『今死ぬのが一番幸せなタイミングかも…』と思ってしまうこともあった。
しかしそれも、自分の人生に、将来に真剣に向き合ったからであった。
自分という存在価値、生きる意味について必死に考え悩み悩んだ過程であった。

 ここまで書いた『僕の就職活動放浪記』を読んで、皆がどのように思うかは僕に強制は出来ない。
『新卒捨てるとか人生にオワタな』
とか
『負け組ザマァ!』
とかでも構わない。でも、ここに、明るさだけが取り柄だった男でも苦悩葛藤していたこと、自分がわからずに紆余曲折してたどり着いた道が停止だったこと。
そんな男がいたことだけ知って欲しい。

そして、今後、こんな局地に追いやられた時に思い出してほしい、僕は今、夢と希望に満ちている。

それは就職しないから、働かないからではない。
とりあえずでもやりたいことを見つけたからだ。
嫌ならやめたっていいんだ、少し止まってまた歩き出せばいいと思う。

『新卒主義』と言われる就職活動において、そのブランド品を捨てた僕が、今後どのように生きて行くのか、できるならここに記していきたいと思う。

これは僕が皆に与える僅かなる希望であると同時に、進み始めた歩みを緩めないために、皆から圧をかけていただくための決意表明である。

この記事と同時に、僕がブログを始めた一つの理由が終わった。
自分の想い、考え、経験を整理するためにと始めたオナニー的行為ではあったが
少なくともこれを読んでくれる人は何人かいた、会った時に『見てるよ』と声をかけてくれる人もいた。

結局僕の就職活動は射精をすることなく終わってしまった。
社会人童貞として、3月の終わりには大学生ではなくなり、4月にはフリーターでもなくなり、ニートというレッテルを貼られることとなる。

ニートになった僕が何をしたくて、何をするつもりなのか。
皆に言うにはもう少し時間がほしいと思う。まだ大切な人々に自分の言葉で伝えられてないから。

でもそれを伝えたとき、皆も言葉に、文字にして発してほしい。
自分がどう思ってるのか、何にチャレンジするのか、どうなりたいのか。

それを話すことはきっと恥ずかしいことじゃないはずだ。
悩み苦しんでる人を救うことになるはずだ。

何年たとうが、みなと共にセックスできることを祈って、『僕の就職活動放浪記』は一旦終了する。
これは大いなる前身だ、何年たとうが僕は自分のやりたいことを見つけ、必ず職を見つける。

それまでの『一時停止』である。

こんな下らなく、薄っぺらく、少し卑猥な僕のオナ語りに付き合ってくれてありがとうございます。
今後も続きますが、皆の時間が少しでも許すなら、これからもこのブログを見てやってください。

…僕の就職活動放浪記-完-


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

2件のコメント

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    上記の北斗さんは管理人の北斗ではないのですが、同じ名前とは奇遇ですね。
    探しに行く準備は出来ています。ただ、探し物が何なのか、それはまだ定まっていませんが。

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