2-22. 心あらわれる街-フンザ-

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私たちがいかに私利私欲の生活の中で窮屈に暮らしていたか、この町ではそれを痛感させられる。

街を歩けば人々が家に招き、チャイをご馳走してくれる。

子供たちはついてきては『ハロー!ハロー!』と叫び、まるで気分はTVスターである。

食事の値段設定も『あなたが決めていいよ』と言ってくる。

私の頭の中のパキスタンとは違い、ここは古き良き田舎の優しさと生活を常に保っている。
お湯もなく、電気も通っている時間のほうが短いが。それでもここでの生活はどこか日本よりも豊かさを感じさせるものがある。

日本人と結婚し、日本に住んでいるというパキスタン人の男性が言っていた。
『タリバン報道のせいで、お客さんがこなくて困っている。ここはこんなにも平和なのに。タリバンと名乗る組織がモスクを破壊し、支持のあった人が議員にならない。そして貧乏だったはずの人々が謎のお金を持っている。アメリカのせいさ、みんな知っていることだ。』

ここでは日本で80万もするというシルクのカーペットが10万で買える。
もちろん、観光客で溢れた2005年前後であれば、もっと高値で売れたのだろう。
宿の情報ノート(旅人が書き込む街や近隣国の情報)を見ても、2009年以降の書き込みが少なく、日本の有名なガイドブックも2009年を最後に、発行されていない。
もちろん、絶対に安全とは言わない。
ただし、先にも記したように私たちのイメージは拡大解釈されたものであることを常に意識しなければならない。

イスラム圏は異教徒には理解したい?
酒も煙草もやらずに女性は目しか見えない?
タリバン溢れる危険な国?

違法ではあるが、この国では6割の人間が家で酒を嗜み、煙草はほとんどの男性がすい、ハシシすらも当然のように吸っていたりする。
上記のイメージも間違ったものではないだろう。

日本での原発問題や政治問題と同じくして、両羽を有することで本当の解釈ができるのではないかと、私は思う。
少なくとも、私は日本では見ることができないであろう景色を、美しい景色を見ることができている。
空が明るくても月が光るということ。
山々に囲まれた景色の美しさ。
自然や観光客と、調和して生きるということ。

『平和』

私は世界じゅうの人々がその真逆のイメージを持つこの国の田舎で、その言葉の意味を今はじめて理解できているような気がしている。
続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

2件のコメント

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    おはようございます。
    レスありがとうございます。
    フンザはとてもよい所のようですね。
    今から私もフンザに行くのが楽しみです。
    私はまだパキスタンの地理が頭に入っていないのでよくわかっていないのですがこちらで出会った日本人旅行者からの情報によればスストというカリマバードの北にあるスストの町に到着するのが5月31日になりそうです。
    スストからカリマバードの間の行程はどの程度の時間がかかりそうなのでしょうか?
    残念ながら北斗さんとはニアピンで入れ違いになってしまうような気がしますね。
    私の足がもう少し速ければと残念です。
    でも北斗さんのおっしゃる通りイランビザのこともありますし無駄にカリマバードの滞在を延長する必要はありませんので無理は絶対にしないでくださいね。
    話は変わりますが北斗さんがリアルタイムで最新のパキスタンの治安情報を書いてくれているのでとてもありがたかったです。
    実は治安情報が少なかったので多少治安を心配をしていたので安心してパキスタンに向かうことができます。
    私もフンザを思いっきり堪能してきますね。

  2. SECRET: 0
    PASS:
    大将様
    それは、とても残念です。
    ちなみにカリマバードでは、宿はハイだーイン、食事はコショーサンがオススメです。僕はコショーサンが少し高いからここで食べてますが。
    治安は、人の良さで言えばインドよりも全然いいです。治安も、パキスタン人が必死にアメリカのダウトだと説明してきます。
    安心して入ってください、北部は少なくとも安全です。ただ、中国との癒着を嫌がるアメリカのなんちゃらっていう都市伝説的事件があるので、中国人に間違えられない方が賢明のようです。

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