2-24. 親日感情のつくりかた-フンザ-

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ここカリマバードには、ハセガワパブリックスクールという学校がある。

長谷川恒雄という登山家の嫁が作ったらしい。

そんな学校の授業見学をさせてもらえるというので、私達は日本人4人でそこに出向いた。

ある教室の門を開けた時、私は圧倒されることとなった、教室の生徒全員で『春が来た春が来た』と日本語の歌を歌い出したのだ。

可愛いパキスタニーガールが一生懸命日本語を話すその姿を見て、私は将来の嫁をパキスタニーにすることに心の中で決意したのだった。

しかし帰り道に、日本語が上手なエロパキスタン人に『でもパキスタン男は日本の女の子大好きだけど、パキスタン女は鼻が高くて青い目の人が好きだよ。』と言われ、私の決意は現実不可能の妄想へと降格することとなる。
ここの人間は、日本人だと言うととても褒めてくれる。

それは、もちろん、他の国の観光客にも同じように言っているのだろうし。観光地であるここに多くの日本人が来てお金を落として行ったからでもあるだろう。
学校の人々からしても、しょっちゅう日本人が来て、授業見学されて、挙句歌も歌わされたのでは、笑顔の奥でどう思っているのか分かったものではない。

きっと、年に一回会ってお年玉をくれる、親戚ぐらいな感じだろう。

彼らが今、国として本当に感謝しているのは中国だということが分かる。

『中国は我々をいつも助けてくれる。』

カラコラムハイウェイは確かに友好の証なのだろう。

中パの癒着を嫌がった国が、パキスタンにいる中国人を攻撃しているという都市伝説的話もあるぐらいだ。

そんな彼らも、中国は大好きだけど、中国人はあまり好きではないという。

それは、『汚い』という多くの人々が持つ中国人のイメージによるものである。
上海においてのその汚さは私に外国ら
しさを与えてくれ、とても居心地の良いものにしてくれたが、国を離れれば人は、国際基準のジェントルマンにならないといけないのだ。

『親日』
日本にいると何処何処の国は親日だから、と、多くの言葉を聞くが、私はその国々は旅行者に優しいだけなのではないかと思う時がある。
では、例えば『親日』とはどのような時に現れるべきもので、どのように作られるものなのだろうか?

私は国自体のそれと、個々でそれを作ることが出来ると思っている。それは支援とジェントルマンが成せることなのだろう。
では、そのように生まれた『親戚の叔父さん的親日』は、どのように生きるのか?

例えば上海には、客が誰もいない多くのブランドショップがあった。
きっとこれらのショップは、売り上げ以前にずっとその場にあることに意味があるのだろうな、と私は思った。
『上海の一等地には、あのブランドがある。』
上海を訪れた多くの中国人は、記憶の中にそう埋め込まれ、いつしか憧れへと変わって行くのだろうと。

同様に、きっと彼らの中に、明確な『日本好き』というものはないだろう。
しかし、建てられた学校や、随所に見られる日本の国旗、そして教えられる日本語は、彼らが大人になる頃には、日本という国をより身近に感じることができるようになってるはずである。

それが友好への架け橋になるはずである。
親日とは、好きや、嫌いという意味ではなく、悪くないイメージで、日本を近くに感じられるかどうかであると思う。

我々はどうだろう?
ニュースで見かけるパキスタンの文字を見て、パキスタンの人々を想像出来ただろうか?
身近に感じることはできただろうか?

世界はこんなに近くなっているのに、どうして埋まらぬ心の溝を持ち続けて居るのだろう?

私から変えていこう、皆にも派生してくれるとこの上なく喜ばしい。
ガバメントなんて知ることか、個々の単位で見ようじゃないか。
高らかに叫ぼう、彼らのために、未来の私達のために。

私は、フンザが、パキスタンが大好きである。

帰りに、ピンディー行きの20時間超えのバ
スに乗っていて、随所に挟まれる休憩中、外に出ると子供があつまってきて、知っている数少ない英語を羅列して話しかけてくる。
『マイブラザー』
『マイシスター』
と言われ、『アイム メン』と言うと爆笑が起き、その後どんぶりどんぶり芸で面白くないギャグを続けてくる。
どこか懐かしい感じを覚えていると、彼らはサッカークラブの少年だという。
そういえば我が母校のサッカー部も、こんなノリをしていたと思い出す。

ちなみにサッカーボールの7割はここパキスタンで作られているらしい。
貴方が蹴っているそのボールも遠いこの国から運ばれたものかも?
さよならやさしきフンザ人、さよなら美しき街。
続く…

 


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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