2-61. なぜ?-ベオグラード-

P1020900当時のユーゴスラビア紛争において、セルビア側は悪として報道されていたらしい。

前記の通り、日本にいたときには外国には何ら興味もなかった私は、そんなことは知らなかったが…。
もちろん、現在では片側を悪などと決めつけるほど阿呆な人間は日本にはいないと信じたいが、それでも人々に『野蛮で危ない』と言うイメージがついてしまっているという。

ベオグラードの町は、古い建築物(またはそれを再現した)が多く残されており。
街自体は少し灰色がかって見えた。

旧市街には多くのカフェが立ち並ぶ。
カフェ・カフェ・カフェ…ヨーロッパの人々はお茶やコーヒーを飲みに旅行してるんじゃないかと思うほど観光地はカフェだらけだ。
そのカフェは夕方からレストランに代わり、夜になればバーやクラブに変わる。

私は決して欧米的な娯楽に憧れがあるわけではないけれど、日本人ももっと彼らのように楽しめればなぁ、と私は思うのである。

面と向かって人と話すことがこんなにも面白く、素敵で大切なことだということは、外国に来てから感じれるようになったことかもしれない。

中心地から少し離れにある湖やその周辺では、水球やフットサルなどが行われており、人々の憩いの場になっていた。
旧市街にある城には、軍事博物館の横に、バスケットコートやテニスコート、卓球場などがあった。
日本ではなかなか考えられない土地の利用方法だが、これほどまでに有意義な使い方はないのではないかと思う。

人々は優しく穏やかである。

通称『空爆通り』と言われている通りには、コソボ紛争時にNATOによって空爆されたビルがそのままの状態で残っており、そのすさまじさを伝えてくれる。

同じように空爆によって壊された放送局の傍らには碑が立っており、そこに書いてある文字が

『なぜ?』

らしい。私は英語すらも理解できない阿呆なので読めないのだが。

何故、攻撃されなければならなかったのか。
何故、殺されなければいけなかったのか。
何故、破壊されなければならなかったのか。

そしてそれを行ったのはNATO軍であり、旧ユーゴスラビア諸国でも、コソボでもない。
巨大な欧州連合軍が多きな武器をもってやってきたのだ。

そこにはもちろん政治的な意図や、紛争を早めにおさめてしまいたい周辺諸国の思惑があるのだろうが。
そこに住む市民にはそんなこと知ったことじゃない。ただ壊され、ただ殺された事実だけが残る。

もちろん、ベオグラードに住む人々からはそのような感情が今も残されていると感じるほど暗くはないし、むしろ明るくやさしいしハンバーガーがとってもおいしい。
でも事実として残っているのは確かなのである。恨みも生むだろう、悲しみも続くだろう。

海外から、日本のニュースをたまに拝見している。インターネットとは本当に便利なものだ。
選挙に行けなかったのは、心残りだが、私は今回の選挙を追うほどの時間がなかった。

首相は開票日前に9条改正を発言したとメディアが報じていた。

皆様はどう思うだろうか?

ちなみに私は、世界に対して『我々は軍を持たない』と言いながらも、他国と連合を組んで攻撃するようならば、いっそ軍を持っていると言ってしまったほうがいいと思う。
それは、爆弾を落としながらも戦争はしていないと言っているNATO軍と同じであると考えるからだ。

もちろん、軍など持たずに周辺諸国とも平和に物事を解決できるのならば、それに越したことはないのだろうか。

ただ一つ、皆さまに問いかけたい。私たちの国は、今現在本当に軍を持っていないと言えるだろうか?

いつかは我々の国が仕掛けた爆弾によって、市民が『なぜ?』と問いかけないように。

考えようじゃないか、皆さまも。
話そうじゃないか、顔合わせ。そう、日本にだってカフェはたくさんあるのだから。

続く…

 


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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