2-73. ゲイ-ロンドン-

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友人と別れた私は、バスを乗り継ぎ、新たに私を止めてくれるホストの元へ向かっていた。

友人と会うことを目的としていた私は、その目的がなくなった虚無感と共に、この先の道は本当の意味で自由であるということに喜びも覚えていた。しかし、悲しみは当然のようにやってきた、私のここまでの道しるべであった友人は日本に帰ってしまったのだ。

そんな感傷に浸りながら、住所を頼りにグリニッジの方に行くと、ホストは両手を広げて出迎えてくれた。

私は、先進国に入ってから外国人に自分の旅を話す時に、必ず二つのギャグを入れる。

一つ目が『パキスタンはムスリムの国だろ?でもあいつらは隠れて酒もハシシもやるんだよ!』
であり、二つ目が『3度ホモに会った話』である。

二つ目の話に突入した時に、彼の顔は曇り始めた。
そして話し終わった後にこう言った。

『実は、私はゲイなんだ。』

62歳のおじいちゃんである。

ちなみにそのことは滅多に言わないらしい、友人も両親も知らないし、今まで泊まったサーファーにもほとんど言ってないらしい。

それが初対面の私に行ってしまうんだから不思議である。

ちなみに彼は数年前まで英語の教師をやっていて、会ってすぐにRとLの発音の指導を受ける。
私がここにたどり着くまで、いかに破壊された文法とハチャメチャな発音でやってきたかが、彼の指導によって露呈し始める。動詞の『s』の使い方から私への指導は始まる。

ちなみに私のイメージではイギリスはゲイに寛容である。
それがなぜ誰にも打ち明けられないで孤独な生活を送っているか?

イギリス自体は寛容であるだろうが、やはり個々になると嫌悪感を示す人は多いらしい
そしてイギリスにあるさまざまなゲイスポット、そこに訪れる多くの人は

『セックス目的』

なのだという。彼は『私はゲイだが、ゲイセックスは好きじゃないんだ、汚いし。』

ではどうやって快楽を得るのかというと

『相手の体をマッサージするんだ。』

なんという性癖、どしてマッサージ師にならなかったのかと言いたい。

ちなみに私の、こういった性の特殊についての寛容性は異常である。
3度のホモに会った時も、明らかに拒否を起こしたのは『ファックウィズミー男』だけであった上に私は自分の彼女が風俗関係に従事しようが何とも思わない。

そんなマッサージ性癖を持つおじいちゃんが、そのあとに言った言葉が『マッサージしてあげようか?』
だった。

私は快諾した。
そのおかしな感性が、生まれながらなのか、旅にでて狂ったのかわからないが、なんだか『まぁ減るもんじゃないし、マッサージ気持ちよさそうだし』とトライすることにした。

日本にいたときに、ゲイの芸人がマッサージ業を営んでいて、その人のマッサージが昇天するほどに気持ちいらしいという話を聞いたことがあったが、まさに私はそんな経験をした。
この上なき気持ちよかった。最後は『気持ちよすぎるからやめてくれ』といったほどだった。

私は未知なる男の世界に片足を突っ込み始めてしまったのかもしれない。
それでもいいかもしれない、なんて言っても、私は自由なのだから!

続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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