3-1. 新しい生活の始まり-トロント-

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春に日本を発った私は、中央アジアで灼夏を超えて、ヨーロッパで心地よい秋を味わい、ここ、新たな大地の北国で冬を迎えた。

カナダである、北米。

先に、私が日本にいたときのカナダのイメージを話しておこう。
メープルシロップと雪…。
私はここに移民から成り立つ『都会』があることも知らなかったし。11月になれば雪にまみれているとも思っていた。

トロントにいる。
観光客がそんなに多くもなく祖国と似た『四角形のビル』が連なるこの町は、古都から成り立っていたヨーロッパよりも、東京に似て、私を落ち着かせてくれる。

久々に一泊3000円前後もする、高いホステルに腰を下ろしていると、男女混合ドミトリーの同部屋で20歳のメキシカンと親しくなった。
彼女も、一度メキシコに帰り、1月から戻ってきて、カナダに住むのだという。『では一緒に家を探そうか』となった。私のカナダ生活も順調に走り始めたように思える。

そう、私はワーキングホリデービザをロンドンで取得し、ここカナダで働きながら英語を勉強し、暮らす予定なのだ。
今までの旅とは違う、通り過ぎるだけではない。ここで働き、ここで友達を作り、ここに住むのだ。

今までは『へぇ~』と言って通り過ぎていけた習慣も、身に着けなければいけない。

ビールがスーパーマーケットで売ってないこと。
外で酒を飲んではいけないこと。

『花見』の習慣があり、ヨーロッパにて公園で酒飲み談笑する楽しさを身に着けた私は、これにものすごいカルチャーショックを受けた。

毎度のことながら、下調べをまったくしなかった私は、携帯の契約の仕方も、働くために手続が必要なことも、宿の借り方も知らなかった。
ただ、ここにきて仲良くなったのが日本人ではなかったことが、私を強制的に英語で努力しなければいけない環境にさせた、失敗したっていいじゃないか、そういう心意気で行きたいとおもう。

野宿が出来る暖かい季節に比べて、ここで失敗して、お金を失えば、そこに待っているは死の恐怖なのだが…なんとかなるだろう!それは今まで出会った数多くの方に教えてもらったことだ、『なんとかなるだろう!』。そう思わずには一歩も踏み出せない。自分の中に住む、ネガティブという悪魔と戦いながらも、なんとか一歩一歩を踏み出す、それが新しい世界に行くことだ。敵は外でなく、内にいる、それも物心ついてからずっとずっと住み続けてる。

とは言っても、トロントで生きるのはきっとたやすいことなのだろう。歩けばすぐ見えてくる日本食レストラン、信号待ちをしていれば横にいる日本人。
私の下手くそな英語と、理解力のなさに舌打ちもしないカナダ在住の人々。

『アジアを旅してきたんなら、カナダなんて楽勝ですよね!』

とイタリアで会った日本人に言われたが、私はそのようなことを言われるたびに『いやいや…』と思ってしまう。

むしろ難しいのは先進国だ、許容されてることが少なく、失敗すれば暮らすことが出来なくなってしまう。

宿で、初めて会った日本人の女性に『トロントは、アジア人がたくさんいるから嫌だったんですけど…』と話された。

私は時に思う、この同族嫌悪のような気持ちを持つのは日本人だけなのだろうか?
英語を勉強したいなら、日本人がたくさんいてもいいのではないのか、と。

日本人がたくさんいても、『日本人だけ』という事はないのだろうから。

それでもやっぱり人間は弱い。
きっと近くに祖国を思い出す人間がいれば、きっと話してしまうのだろう、それだっていいと私は思うのだが。
きっとそれは『英語』に対する強いあこがれも、熱意もないからなのだろうが…。

兎にも角にも、私はトロントでの暮らしはスタートさせた、更新頻度は減るだろうが、時々でも私の『ワーホリ生活』を楽しんでいただけると喜ばしい。

休暇を終えてロンドンに帰っていくコンゴ人に『幸運を祈る』というと
『俺も祈ってるよ、お前たちが-20度に負けないことを!』と言われ冬が来ることにビクビクしながら、宿さがしを始めるとしよう。

続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

4件のコメント

  1. SECRET: 0
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    やっぱりしばらく帰って来ないのかwww
    しかもカナダかよ!とにかく頑張って!

  2. SECRET: 0
    PASS:
    ちわわ様
    すぐ変えるかもしれないけどね!(笑)
    頑張ります、ありがとう。

  3. SECRET: 0
    PASS:
    北斗さん
    名前欄には自分の名前をお願いします…
    いつ帰る予定か…。もう未定としか言えません!!(笑)

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