3-3. 働く-トロント-

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私は結局だらけて、難しいことを避けて、簡単な道を行く。
人は結局弱い、とても弱い。びっくりする、自分の弱さに。

アルバイト探しなら英語で行えばよかろうが、結局私は日本人コミュニティサイトを見ていてしまった。

ロンドンに留学してる友人と一緒に過ごしていたことが、そのようなコミュニティサイトが各国にあることを知ることが出来たきっかけだった。このような情報がなければ私は宿も見つかってなかったことだろう。

ただ、仕事に関していえば英語環境は諦めていた。
金は命だ、少なくともこの寒い国においては、稼がなければ死んでしまう。

というよりも、英検4級すらも落ちるであろう私の英語力で仕事なんて見つかるわけがないと思っていた。
例えコミュニケーション皆無な仕事であっても、面接で落とされるのが関の山だ。

とはいえ、ダメ元で、コミュニティサイトで英文で乗っていたイタリアンレストランに応募してみることにした。
ダメ元だ、どうせ私はジャパニーズレストランでしか働けないだろうと思っていた。
友達できるだろうし、日本食食えるし、チップいいって言うし、いいかぁと思っていた。

イタリアンレストランにメールを送ると即日で会ってくれるという。
場所を調べて行ってみると、立派なレストランで会った。グラスから床までピッカピカ、一瞬にして脳裏に浮かんだ『ダメだろうな・・・。』

その諦めが逆によかったのだろうか?
私は自分でも驚くほどに、笑顔で英語のインタビューを受けていた。
相手のイタリアンカナディアンがとても聞き取りやすいゆっくりな英語で話しかけてくれたからでもある。

そのカナディアンが突然日本語を話し始めた、流暢に。
そして面接も中盤を終えた後に彼が言った言葉を、私は忘れないだろう。

『私は3年間懐石料理屋で仕事していて、その時日本人の真面目さに感動を受けて、日本人と一緒に働きたいと思っていたので、求人を出したのです。私の夢は、自分の店を持って、店員を全員日本人にすることです。』

オタクでもなく、カルチャーとしてでもなく。
我が祖国の先人たちをほめてくれたことがうれしくてしょうがなかった。

今も日本で働く友人が、つらい思いや、自信をなくしてたりしてたら言いたい。
私たちは誇れる人々です。

『20人以上求人来てるから明日連絡するね』と言っていたのに、帰り際に『明日から来てもらえる?』と言われ、私は仕事を始めることとなった。

お客さんと話す仕事ではな上に、皿洗いからスタートであるが、私の胸は高鳴っている。

ちなみにレストランの料理はイタリアのトスカーナ地方の料理。
私が親戚と住んだイタリアのシエナはこのトスカーナ地方にあたる。

旅から旅への一つ一つが、つながっているような気がしてうれしかった。

カナダでイタリアンで働く、なんだかおかしい気もするが、私はカナダライフの準備が整ったことに胸が高鳴らずにはいられない。

続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

2件のコメント

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    山本くん
    胸という単語に対して敏感すぎやしないか?確かに繰り返した俺も悪いけども!

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