3-8. 回り道-トロント-

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トルコ人のエルスンが私に言った。

『ホクトが僕の国を知っててくれて本当によかった、世界の多くの国々は未だにトルコを勘違いしてるんだ。』

私は中東の、イランやトルコの人々に会うと、毎度のこと感謝される、本当の自分の国を知ってくれていて、ありがとうと。

セントラルアジアの共通文字であったペルシア文字をアルファベット的表記に変え、強引にヘジャブの使用を禁止した時期すらあり、数多くの観光客で賑わうトルコですら、未だにムスリムという言葉からくるテロリストや貧困というイメージを拭えないでいる。

多くの外国を旅していて、フランス語を流暢に話すチリ人のポーラと、セントラルアジアであるトルコ出身のエルスン、そしてインドからヨーロッパまでの旅を終えた私の三人が集まると

『どうして人々は未だに世界を勘違いしているの?』

という話になる。
日本から外に出ていて、移民大国であるここカナダに住んでいる多くの日本人ですら、

『イスラエルは貧乏な国で、イランはテロリストでいっぱい』

なんてイメージを抱いてたりする。

日本を出る前は、同様に勘違いしていた私がいるのに、もはや『知っていて当然』という気持ちが心の中に生まれてしまい、先進国しか言ったことない人と話すと、その意識のギャップに驚かされることも多々ある。

多分、数多くのバックパッカーとの出会いが私をそうさせたのだろう。我々は知っていて当然であったし、知らぬことは罪であり、危険であった。

きっと、世界を見て、貧困や格差を嘆くだけの人はいないと思う。
むしろ、貧乏、格差そして危険というイメージが定着している海外諸国にも、日本が、日本人が失ってしまったであろう、お金とは別にある豊かさがあることを知って欲しい、日本にはない美しさを見て欲しいと思うはずである。

百聞は一見に如かずなんて素晴らしい言葉がある。
いくら本を読んでも、話を聞いても、それは目で見て体感するものに比べたら、ものすごく小さなものだ。

海外を見るなんて経験が、日本社会に良い影響を与えるか、あなたの人生に金銭的にプラスにつながるかと聞かれれば、私はNOと答える。
今の日本のシステムでは、大卒新卒で大企業に入り、出世することが一番の近道なのだろう。

ただ
、私が繰り返し発してるのは、それでいいのか?と自分に問いかけてきた人々に対してだ。
これでいいのか。これが望んだ人生か。これが描いた未来か、と。

悩み悩んだ挙句に出口のない苦悩に入り込んでしまったなら、海外に興味なんてなくていい、英語を覚えたいなんて思わなくてもいい。なにもなくていいから、一度日本から出てみよう。

それは今の日本のシステムを考えれば遠回りかもしれない。
でも、その回り道は我々に、数多くの道を教えてくれるはずだ。
大いなる遠回りだ。

きっと取り除いてくれるだろう。
海外があなたの不安を、苦悩を。
それはきっとまた新たな悩みを生むだろうが、きっとそのときは苦しみではなくなっているはずだ。
続く…

 

【おまけ】

エリスン=無宗教のトルコ人、オイルペイントを学んでいて、精神的に少し弱い。
ポーラ=自信家でプライドの高いチリ人、お嬢様、なんでも勝気。
私=普通の日本人、仕事になれば真面目で、無茶はしない。

1.
エリスン『16歳のときにムスリムであることをやめたんだ。』

私『どうして?ベーコンが食べたくなったから?』
エリスン『ちがうよぉ・・・』
2.
エリスン『日本人の女の子の喘ぎ声は可愛いよね、アンッって。』
私『アメリカ人はなんかジーザスって言うイメージ
ない?』
エリ
スン『あるね。』
私『じゃぁトルコ人はアッラーアッラーァンって喘ぐの?』
エリスン『、、、、』
3.
ポーラ『私たちは資源キープしてグローバルワーミングを阻止しなきゃいけないのよ!!』
私『そうだね、地球温暖化したら、チリ、なくなっちゃうもんね』
ポーラ『そ・・・そういうわけじゃないわよ!そうなんだけども。』


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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