3-10. The worst city for racist-トロント-

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前回の更新は4月であったことに今頃気づいた。

4月…。まだ寒さが残りに残りまくっているトロントで、カナディアンの友人に

『寒い、寒すぎる。いつになったらこの街に春はやってくるんだい?』
と聞いたら、
『何言ってるの?今が春だよ』

と言われて愕然とした記憶しか残っていない。

それから4カ月。
来る前は毎食メープルシロップを食していて、年中雪を見て過ごすと思っていたカナダだったが、ここにもちゃんと夏が来たし、メープルシロップはほとんど食べていない。
ちなみに私が生活している場所においてあるのは『メープルシロップ風シロップ』であって、メープルシロップではない。たまに勘違いして喜んで食している人を見ると心が痛む。
ちなみにカナダの新札はメープルシロップの香りがします。嘘のような本当の話です。

さて、冬の間は、残金が10万前後で渡航したこともあって、貧乏に英語が出来ないで、苦行のような日々だったのを覚えている。
特にそれが苦だったわけではないけど、地下の狭い部屋で三人で集まり、エリスンとポーラとワインを一本一緒に飲むのが最高の贅沢だった、私の驕りで。

『今思い返すと、あの時が一番幸せだった気がするね。僕らにもまだたくさん友達がいたし(今はほとんど全員が国に帰るかほかの都市に移った)、僕は毎日が(仕事が見つからず)暇だったし、北斗は毎晩部屋に来て話してくれた。』

正直言って今の生活にはすごく満足している。
仕事も、生活環境も、金銭面も、だいぶ楽しく、勉強になる毎日を過ごさせていただいている。

でも、満足してしまっていることが、 時として不満でもある。
不満、不安、貧乏、孤独。そこから這い上がろうとするときほど、人は努力の二文字に情熱たぎらせ、改善への一歩一歩をかみしめて上る。
それが、楽しく、素敵な毎日を生み出していたりする。考えて、動いて、考えて、動いて…。

さて、そんな満足に満ち溢れた少し不満な毎日だけども、それでも苦行を再履修するために今すぐ冬にしてやろうかとアッラーかジーザスあたりに言われたら本気で泣いて謝ると思う。

それだけトロントの冬が厳しいこともあるが、

それよりもそれだけトロントの夏は素敵なのだ。

毎週のようにどこかしらでフェスティバルが行われる
カリビアン(レゲェ)フェス、テイストオブダンフォース(ギリシャ)、大道芸人フェス
スパイシーフェスティバルとかいうのまであるというから驚きだ。

街自体が夏を楽しんでいる。
まるで『ほら、今しか楽しめないんだから、精一杯遊びなさい!』と街が言っているようである。

先日、Canadian National Exhibition (通称CNE) といわれるイベントへ行ってきた。
簡単に言うと、オンタリオ湖沿いに遊園地が出来るのだ。

移動式遊園地

その欧米感にわくわくしながら私は足を運んだ。

しょぼい乗り物と、しょぼいゲーム。
でもそれが味があって、むしろそのチープさが、逆に絶叫系を怖くしてて、ゲームは面白い。
室内に入ると世界各国のブースがあって、その中でも大部分を占めていた『China』のブース。
中を見ると中華街で売ってるのと何も変わらない『安かろう悪かろうであろう製品』の数々。
確かにそりゃぁMade in Chinaなんであろうけども…。

『CNEは、トロントの夏の終わりを告げるイベントなんだよ。』

職場のマネージャーが教えてくれたこの一言がなければ、こんな気持ちにはならなかったのか。
最後に乗った遊園地を横断するリフトから景色を見たときに、なんとも言えない寂しさがこみ上げてくる。
何かが終わるときにこみ上げるあの感情である。

夏が終わるのか…

『夏を経験すれば、トロントが好きになるよ。私はまだひと夏ここで過ごせるあなたがうらやましいな』

冬の間に私ににそう言った、ワーキングホリデーの終わりかけで出会った女性の言葉を思い出した。

この街が好きだ。
冬の辛さを足しても、そういわせるだけのものがこの街にはある。

『Here is the worst city for racist!
大道芸人が叫んでいた一言を思い出す。

そう、CNEでの笑顔は、肌の色だって、年齢が違ったって、みんなが一緒だった。

続く…


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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