1-5. 世界へと飛び出ることにした

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就活に失敗して夢も希望もないお先真っ暗の私は、日本を旅立ち、世界へと飛び出ることにした。

 

今日まで、各国のビザ申請や旅費の確保で翻弄していた私も、ついに20日に日本を経つこととなる。

数日前に大事故を起こしておきながら、『行ってきなさい』と当然のように送り出してくれる両親には感謝せねばならない。
また、背中を押してくれた友人、そして待ってくれている友人、道は違えど共に歩もうと言ってくれた友人にも、感謝を送りたい。

これは私の旅である、なにがあろうと私の勝手だ。
途中で挫折しようが、3日で帰ってこようが私の勝手であるが、それでも、期待をしてくれてる数多くの人々を裏切らないためにも、是非たどり着きたいと思っている、ロンドンまで。そして学び考えたいと思っている、自分を、世界を。
歴史に興味があるのか?
ウユニ塩湖に行きたいのか?
ピラミッドを見たいのか?

違う、私の目標はただ一つ、自力でロンドンまでたどり着くことに他ならない。
私にとって今一番ほしいのは、今後の人生を生き抜く自信であって、考える時間であった。

そして、この旅立ちを分岐点として、今後の人生を変えていきたいと思いがある。
これはそのための一旦の休暇のようなものだ。

2013年4月20日、私は成田空港からいったん中国の上海まで旅立つ。
これは航空券のオーバーストップを利用し、一週間中国に滞在する。
その後、デリーから横断の旅は始まる。

上海という経済都市、そしてその周りのはびこる貧富の差を是非この目で見てみたいと思う。

私にとって今回の旅は、出発する前から旅以上の価値をすでに与えてくれた。
私はここまでの22年間において、私の人生を本当の意味で豊かにしてくれる人に出会ったことはなかった。

それも当然である、私自身、人生を豊かにしようという本気の思いが全くなかったからである。
しかしどうだろう?

『変えよう、チャレンジしよう』と思い立ってから今日までに、私は様々な人と出会い、さまざまな知恵を授かることが出来た。

私の友人も『何か変えよう』という人たちで形成されるようになり、それは私にとってとても大きなエネルギーとなっている。

また、私はここを一つの大きな区切りとしたことによって、何年も会っていなかった祖父母と会う機会を得たし、父や母と酒飲み交わし、話し合うことが出来た。

最愛の妹に、人生の歩み方をアドバイスすることが出来た。

 

もう、旅に出なくたって私と周りの環境は半年前の私と比べて、格段に良く変化していた。
現状を維持しようとする人間に対して、人々は手を差し伸べてくれたりはしない。

しかし、一度『変えよう』と思い始めるとどうだろう、変化は向こうからやってくる。
私は現状を変えようという友人たちに対して、毎度約束する事がある。

来年、また会おう。

その時に笑って話せるように、今を精一杯変えて行こう。
一つのプレッシャーと、安心である。

変えようと努力さえしていれば、彼らは私とずっと友人でいてくれるだろう。
逆なら当然のように離れていくだろう。

友人とはそういうものだと、私は思っている。
私はもう何の悔いもない、それは終わりでもいいという意味でもなく、始めるにあたっての悔いがないということだ。

こんな気持ちで日本を旅立てることを本当に嬉しく思う。

送別会に来てくれた人の一人に、約3年ぶりに会った高校時代の友人がいた。

私からすると彼は、誰に反発することもなく、万人から好かれる、きちんとした人生を歩むことができる人間だと思っていた。

しかし、久々に会った彼は、就職活動に失敗し、ニートとなっていた。

私は驚きを隠せなかった、私にとって彼は、就職の流れに乗らない人々のように、特別な感情を持ってるように思わなかったからだ。

しかしどうだろう、そんな彼でさえ苦悩葛藤をし、『何か違う』との考えの元、いまだに悩み続け、それに対して行動を出来ずにいるのだ。

私は言った、『来年また会おう。』

3年も会っていなかった彼が、来てくれたということは、きっと変えたいのだろう、そういう思いがあるのだろう。

そして行動の道筋が見えずにモヤモヤしてる時に、私の文章を読んでくれたのだと思う。

時として、一国をひっくりかえすような。戦争を起こすぐらいの

私たちにはそういう力があるのだろう、現状を変化させようという力を見くびらないでほしい、そこにある力の根源は苦悩と、葛藤である。
悩み続けたあの時の私がいなかったら、今の私も、私の環境もなかっただろう。
どうか悩むこと、考えることを悪いと思わないでほしい。
それが大きなエネルギーへと変わっていくことを、信じて欲しい。

生きるとは、考えることなのだ、悩まない人間の先に、魅力あるゴールなんて存在しない。そう思って欲しい。

私自身、悩んだ挙句、多くの時間を浪費し、結局答えは見つけられずにいる。

でも、今ほど心地いい状況は過去になかった。

考えること、それが答えなのかもしれない。
答えなどはないのかもしれない。
考えよう、悩もう、今いる立ち位置が本当に臨んだものなのか。

辛い時は共に酒飲み交わし語り明かそう。そのために私がいる、そのために君がいる。
私はあすのあさ、日本を旅立つ。ありがとう、ありがとう。
ただ、女性が男付きで一人しか来てくれなかったことは、悔やまれる。
必ず素敵な外国人彼女を見つけてくると、私自身に誓うのである。
では、また異国の地から、会うことにしよう。

…日常-完-


Hokuto Aizawa
世の中にあきれられた一人の男が、世界を半周した後、北国カナダのトロントにて庖丁に出会う。日本に帰国後、ふらふらしながらも目の前にある美しい事々を見逃さないように暮らす。

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