2-59. 悲劇の跡には花が咲くと信じようじゃないか-モスタル-
深夜についたバスターミナルのソファで、私はリンゴをいじりながら寝ていたのだが、気づいたらそのリンゴはなくなっていた。 常に紐を通してベルトに括り付けていたのだが、その紐すらも切ることなく、そして私を起こすことなく持って行...
深夜についたバスターミナルのソファで、私はリンゴをいじりながら寝ていたのだが、気づいたらそのリンゴはなくなっていた。 常に紐を通してベルトに括り付けていたのだが、その紐すらも切ることなく、そして私を起こすことなく持って行...
ウルチンから5時間かけて進んだ場所にあるのは、ドブロニク。 日本でも、宮崎駿の空飛ぶ豚の話の舞台として有名な、地中海でも最も有名な観光地な一つである。 『ドブロニクに行かないの??』 という日本人の言葉と 『なんでそんな...
バスステーションから出ると、そこにいたのは数多くの客引きであった。 『宿!宿!』『うち泊まれ!』『タクシー!』 まだ早朝だったため、カプチーノを呑んでから決めようとおもっていると、一人の叔母さんが話しかけてくる。 『ハウ...
イメージしてみよう。 ここは、約15年前、他の旧ユーゴスラビア諸国と同じく、独立と民族浄化のための非人道的な紛争を多く起こし、約5年前に正式に独立を宣言し、国旗が作られた国である。 現在国連加盟国の約半数が独立を認証して...
私は台湾人の奏でる美しい『風に乗って』を聞きながら、スコピエの夕日を眺めていた。 バイオリンを弾きながらの旅を始めたばかりだという台湾人の彼は、私がお金を投げ込むと、私の国を聞いて来た。 『あなたの友達の日本です。』 そ...