2-55. 優しさを食べて進む-スコピエ-
私は台湾人の奏でる美しい『風に乗って』を聞きながら、スコピエの夕日を眺めていた。 バイオリンを弾きながらの旅を始めたばかりだという台湾人の彼は、私がお金を投げ込むと、私の国を聞いて来た。 『あなたの友達の日本です。』 そ...
日本から中国を経由してインドのデリーへ。
ロンドンで待つ友人を目指して、私は旅をする。
私は台湾人の奏でる美しい『風に乗って』を聞きながら、スコピエの夕日を眺めていた。 バイオリンを弾きながらの旅を始めたばかりだという台湾人の彼は、私がお金を投げ込むと、私の国を聞いて来た。 『あなたの友達の日本です。』 そ...
イメージしてみよう。 ここは、約15年前、他の旧ユーゴスラビア諸国と同じく、独立と民族浄化のための非人道的な紛争を多く起こし、約5年前に正式に独立を宣言し、国旗が作られた国である。 現在国連加盟国の約半数が独立を認証して...
バスステーションから出ると、そこにいたのは数多くの客引きであった。 『宿!宿!』『うち泊まれ!』『タクシー!』 まだ早朝だったため、カプチーノを呑んでから決めようとおもっていると、一人の叔母さんが話しかけてくる。 『ハウ...
ウルチンから5時間かけて進んだ場所にあるのは、ドブロニク。 日本でも、宮崎駿の空飛ぶ豚の話の舞台として有名な、地中海でも最も有名な観光地な一つである。 『ドブロニクに行かないの??』 という日本人の言葉と 『なんでそんな...
深夜についたバスターミナルのソファで、私はリンゴをいじりながら寝ていたのだが、気づいたらそのリンゴはなくなっていた。 常に紐を通してベルトに括り付けていたのだが、その紐すらも切ることなく、そして私を起こすことなく持って行...
私が東欧の旅を、なぜ旧ユーゴスラビアを重点的に回っているか。 前述の通り、私は見てみたい外国の景色も、行ってみたい国もほとんどなかった。 そもそもが私は外国の知識が人よりも乏しく、日本にいたときは外国を知ろうなんてまった...
当時のユーゴスラビア紛争において、セルビア側は悪として報道されていたらしい。 前記の通り、日本にいたときには外国には何ら興味もなかった私は、そんなことは知らなかったが…。 もちろん、現在では片側を悪などと決め...
ベオグラードから8席一部屋の個室で4隻ずつ向かい合う触り心地のいい座席の列車。 そんなところにも私の想像する東欧感があふれている。 電子的なものは一切見えず、壁も列車自体も落書きで汚いが、私は日本では得られないゆったりし...
インドのデリーで出会って、ヨーロッパでトマッティーナで再会しようといった彼が、ブタペストの日本人宿にいるというので、私はそこに宿泊することにした。 私はトマッティーナには不参加表明をしているので、彼とここハンガリーで会え...
オーストリアのウィーンの町並みを見て、私はなんだか悲しくなってしまった。 美しすぎる町並み、豊かに生活する人々、時間を知らせる鐘の音までもが美しい。 今まで見てきたものはなんだったのか。 そんな気持ちにさせられてしまった...